LIFE STYLE
By 深井麻実
冬になるとなんとなく太った気がするという方がいますが、実はその原因は「むくみ」かもしれません。冬はむくみやすい季節なので、顔や足のむくみが気になるもの。むくみの対処法や予防策をチェックしてみましょう。
【目次】
「冬太り」という言葉もあるように、冬になると太ったと感じる方は多いです。特に、顔や足などは以前と比べて「こんなにむくんでたっけ?」と気になるもの。
冬といえば乾燥に悩まされる季節なので、肌の水分も足りていないはず。なのに何故むくむのか?
実は、これには原因があります。
■むくみのメカニズム
むくみの原因を知る前に、なぜむくみが発生するかを知っておきましょう。
身体の約6割は水分でできていますが、そのうちの2/3は細胞内に、1/3は細胞外にあります。
体内の水分配分は、基本的に変化することはありません。ただし、配分のバランスが崩れて細胞間に水分が溜まってしまうことも。
その結果、血管から細胞間に流れ出る水分が多過ぎたり、血管やリンパ管に吸収されるべき水分が減ってしまったり。
これがむくみの正体です。
冬にむくみやすいのは、食生活や習慣などライフスタイルの変化に原因があります。
冬になると、体温が下がらないように夏よりもエネルギーの消費は盛んに。そのため、体内では自然に高エネルギーの食べ物を欲するようになり、どうしても味の濃い物が食べたくなります。
味が濃いといえば、塩分や糖分が多いのがお約束。塩分や糖分の摂取量が増えると、血液内の濃度を下げようとして今度は水分を沢山摂るように。
その結果、血液中に水分が混ざって細胞に水分が蓄積されますが、これが冬特有のむくみの原因。
さらに、冬は汗もかかなければ血行も悪くなりがちなので、余分な水分を排出しにくくなります。
むくみをそのままにしておくと、脂肪よりも落としにくいセルライトになり、体重増加の原因にもなってしまうでしょう。
冬は空気が乾燥するので、身体の水分が失われがちに。すると、これ以上水分を失わないようにするために、体内で水分を蓄積し始めてむくみが発生します。
また、夏に比べて圧倒的に水分の摂取量が減って水分不足になることも。おかげで血行が悪くなり、むくみを引き起こしてしまいます。
冬になると、寒くて外に出るのが億劫になり、身体を動かす機会も減ります。
運動量が減ると、下半身の筋肉が衰えて血行不良に。通常は排出される老廃物が体内に溜まり、特に下半身がむくみやすくなります。
実際にむくんでいるかどうか、簡単なむくみ症状チェックを行ってみましょう。
■指で押す
むくみが気になる部位を強めに指で押して、しばらく元に戻らない場合はむくんでいる可能性高め。
夜靴下を脱いで、ゴムの跡がなかなか消えない場合も同様です。
■靴を履き直す
靴を脱いで、また履き直した時に履きにくくなっていたらむくんでいる証拠。
ブーツのファスナーが締めづらくなっている場合も同様です。
■鏡で見た目をチェック
入浴時など、毎日鏡でボディラインをチェックする癖をつけると変化に気がつきやすいです。
前日に比べてふっくらした場合は、むくんでいる可能性があります。
■トイレの回数が少ない
水分摂取量は普段と変わらないのに、トイレの回数が少ない場合は水分代謝が悪くなっているかも。
うまく水分を排出できないと、むくみが発生します。
■立ち時間、座り時間が長い
仕事で立ちっぱなし、座りっぱなしの状態が続く方は要注意。どうしても重力で血液が下の方に移動して、足がむくみやすくなります。
■冷え性
身体が冷えると、血流が悪くなり、水分をはじめ酸素や栄養素の循環が停滞してむくみが発生。
さらに、下半身に溜まった水分を心臓に送り返すポンプ作用が弱くなり、むくみが悪化します。
■アルコール摂取量が多い
お酒を飲むとトイレが近くなりますが、体内の水分が減ると脱水症状に。余計に喉が渇いてさらに水分を摂取することでむくんでしまいます。
■女性は男性よりむくみやすい
基本的に、女性は男性より筋肉量が少なく基礎代謝が低いので、むくみやすい傾向あり。
特に下半身の筋肉が少ないと、血液や老廃物を上半身に押し返す力が弱まり、むくみやすくなります。
憎き冬のむくみに対する対処法は沢山あります。今日からでも始められることばかりなので、早速実践してみましょう。
身体の冷えはむくみにつながるので、温めることで解消。即効性のある対処法としては、カイロが便利。貼る位置によって温まり方が違います。
身体全体を温めたい時は、首の後ろに。下半身を温めたい時は、腹部に。足元を温めたい時は、尾てい骨の上に貼ると良いでしょう。
また、冬は外気による冷えを避ける必要があるので、服装にも気をつけたいところ。靴下を重ね履きしたり、手袋をするなど、手足が冷えないようにしてください。
1日の終わりに、入浴で身体を温めるのもおすすめ。シャワーで済ますのではなくしっかり湯船に浸かり、中でマッサージをしてほぐしてあげるのも効果的です。
冬のむくみは、食べ物で解消することもできます。
いくら冷えを解消するために体を温めても、糖分や塩分が多いものばかり食べていたら意味がありません。
血中の濃度を下げるためにも、以下のような栄養素を積極的に摂るようにしましょう。
■カリウム
体内の余分な塩分を排出することで、むくみを解消。ほうれん草、小松菜、アボカド、バナナなどに豊富に含まれています。
ただし、腎臓が悪い方はカリウムの摂り過ぎは良くないので、控えるようにしましょう。
■クエン酸
老廃物を分解して排出することで、むくみを解消。レモン、グレープフルーツなどに豊富に含まれています。
クエン酸といえば梅干しですが、塩分が多いのでむくみにはおすすめできません。
■ビタミンE
体内の余分な塩分を排出することでむくみを解消。モロヘイヤ、プルーンなどに豊富に含まれています。
筋肉は、体内で血液を循環させるポンプのような役割があります。ということは、筋肉量が減ると血流が悪くなり、むくみが発生しやすい状況に。
特に「第二の心臓」といわれているふくらはぎの筋肉量が減ると、血流は悪化する一方。
普段から、下半身を使うことを心がけるようにするだけで、むくみにくくなります。
運動といっても、激しい運動をする必要はありません。ひと駅分歩いたり、エレベーターを階段にしたりすることで筋肉量はアップします。
筋肉量が増えれば基礎代謝も上がり、むくみはもちろん太りにくい体質へと導いてくれるでしょう。
■足のむくみ対策ストレッチ【1】カーフレイズ
1.足を肩幅に開いて立ちます。
2.かかとを限界まで上げてつま先立ちします。
3.重力に逆らいながらかかとを下ろします。
4.ここまでを1回として30回を1セット。1日3セットを目安に行いましょう。
■足のむくみ対策ストレッチ【2】リンパ流し
1.床や椅子に座った状態で、足の付け根に親指をあてます。
2.内側から外側に水分を流すようにマッサージしましょう。
■顔のむくみ解消ストレッチ【1】肩まわし
1.真っ直ぐに立ち、右手の指先を右肩の上に、反対側も同じように置きます。
2.そのままの状態で、肘で大きく円を描くように肩を回します。この時、肩甲骨がほぐれるのを意識してください。
■顔のむくみ対策ストレッチ【2】体側のばし
1.両腕を上げて、片方の手首をつかんで引っ張ります。
2.体の側面を思いきり伸ばして、肋骨の間をほぐしましょう。
■上半身のリンパを流すマッサージ
1.背筋をピンとのばします。
2.両手を上げて思いきりのばします。
3.ゆっくりと肘から下ろして、左右それぞれの肩甲骨に近付けます。
4.肩の力を抜いて、両手を下ろします。呼吸を止めると筋肉が硬くなり、血流が悪くなるので、呼吸をしながら行いましょう。
■足のリンパを流すマッサージ
1.両手をそれぞれのももの表側に置き、下から上に向かって撫で上げます。
2.ももの裏側も同じように行います。
3.両手を足首にあてて、膝に向かって撫で上げます。
4.ふくらはぎを膝裏に向かって撫で上げます。
5.足首から足の付け根に向かって、優しく撫で上げます。
6.ここまでを1セットとして、1日5セットを目安に行いましょう。
夕方になるとむくんでしまうのが日常になっている方も多いはず。
解消できなかったむくみを翌日に持ち越すと、さらにむくみがひどくなります。普段から予防しておけば、むくみが癖になるのを防ぐことができるでしょう。
仕事で長時間座りっぱなし、立ちっぱなしの状態が続く場合は、運動する癖をつけるのが効果的な予防策。
仕事中でもできるストレッチをしてみたり、休憩中に散歩に出かけたり。日常生活において動く頻度を高めるようにするだけでずいぶん違います。
デスクに座ったままでもできる運動もおすすめ。かかとやつま先を上げ下げすれば、ふくらはぎの筋肉を刺激することができます。
冬場は外が寒いので、オフィスや自宅で行える運動が便利。身体を動かすことはストレス解消にもつながり、気分もスッキリするでしょう。
むくみが発生すると、水分が血管から流れ出てしまい、脱水症状になることがあります。
喉が渇いたと感じる前に、水分を摂るように心がけることで予防を。ただし、糖分が多いジュースやアルコールの摂り過ぎは逆効果。お水かお茶をこまめに飲むようにしましょう。
履くだけで外側から足に圧力がかかる弾圧ストッキングを活用するのも○。
血管から水分が流れ出るのを防ぐ効果があるので、長時間デスクワークなどが続いてもむくみにくいです。
ほとんどの商品は、足首から上に向かって徐々に圧力が低くなるように作られています。血液を心臓に送り返すポンプ機能のサポートをして、むくみの原因を作らない効果あり。
軽いむくみであれば、足首部分の圧力が13.3hPa(ヘクトパスカル)くらいのものを。ひどいむくみであれば、26.6hPa以上のものを使用するのがおすすめです。
ただし、締めつけることでむくみ予防効果があるのは、足や手などの先端部分だけ。心臓に近い部分を締めつけると血液が戻ってこれなくなるので、窮屈な洋服はおすすめできません。
冬は身体がむくみやすい季節。しかし、対策や予防をしっかりと行えば憎きむくみともサヨナラできます。ぜひご紹介したむくみ解消法を参考にしてみてください。